ガーナのごみ問題とアート

 こんにちは。学生団体CORUMUMです。

 今回はCORUMUMと関わりが深いアートとガーナのゴミ問題について紹介していきます。

Ⅰ ガーナについて

 皆さんはガーナと聞いたら何を想像するでしょうか?

 ガーナは西アフリカのギニア湾に面する国で、多様な野生生物、古い要塞、ブスアをはじめとする静かなビーチで知られています。また、チョコレートの原料であるカカオの生産で有名な国です。そんなガーナは現在深刻な問題を抱えています。ガーナでは昨今、ごみ問題が課題として挙げられています。その問題は、ただごみが増え、土地が汚染されているというだけではありません。

Ⅱ ゴミの問題

 それでは、ガーナで実際に起きているゴミの問題を見ていきましょう。

 ガーナには、機械の墓場と呼ばれているスラムがあります。その場所には、地面を覆い隠すほどの電化製品のごみが集まっているのです。住民たちはそこにあるゴミを燃やして得られる金属くずを売って生活しています。

燃やした際に出る有毒ガスはそのまま放出され、現地の人の健康被害や土壌汚染、水質汚染にもつながっています。この有毒ガスは吸うことで癌になるリスクも上がります。ガーナでは30代までに癌にかかって亡くなる人は少なくありません。

 ところで、なぜ、ガーナのスラムに電化製品ごみが集まっているのでしょうか?

 原因は、先進国から輸入された中古品の家電製品です。リサイクル製品として先進国から送られてくるものの中に再利用不可能な家電も紛れ込んで輸入されてしまっているのです。そのことから、先進国から輸入された使えなくなった家電がスラムに捨てられるようになったのです。また、スラムにあるゴミを燃やして生計を立てていると先ほど述べましたが彼らが集めた金属を買い取っているのもまた先進国なのです。

 つまり、先進国は使えなくなった電化製品を売り、彼らが集めた金属をまた買い取って製品に利用するという悪いサイクルを生み出してしまったのです。

Ⅲ 問題解決に向けて

 そのような現状を知ったある日本人がアートを通じて彼らを支援しています。彼らを支援している日本人男性は 長坂 真護(ながさか まご)さんです。長坂さんは、現地で拾ったごみを作品に取り入れて、ガーナの現状を世界に伝える活動をしています。長坂さんはスラムにおいても不必要とされている廃材を用いて作品を制作しています。

 銀座で行われた個展「美術は人を救うためにある、ガーナのスラム街を訪ねて」ではMAGOという長坂さんの作品が1500万円で売買されたのです。彼はこれらのお金を活用し、今までにガスマスク1000個の提供、無料の学校の設立、文化施設の設立など、大きく貢献しています。

 彼の今の目標は、2030年までに100億円をあつめて、最先端のリサイクル工場を作ることです。途方もない目標に思えますが、アートの力で本当にそれを叶えようとしています。彼は、これまでも、不可能だと思われてきたことを何度も実現しています。

Ⅳ アートとは何か

 このようにアートは見て楽しむ芸術的概念を超えて人々の生活を豊かにする、よりよくする力を持っているのです。このようにたくさんの力を持つアートとは何でしょうか?

 私は、思いを込めて作られた作品をアートと呼ぶのだと思います。陳腐に聞こえますが、そういうものの数は決して多くありません。成長すると思いをこめて何かを作り出すことは減っていきます。例の一つが、手紙を書くことです。

 私は、小さいころから手紙を書くのが好きです。自分の気持ちが相手に伝わることや、手紙を読んで相手が喜んでくれるかもしれないことがたまらなく嬉しいからです。手紙を書くときは、「あなたが大切だ」という思いを込めてかいています。どの言葉を選び使うか。何の話をしようか。便せんと封筒はどれにしよう。私から相手へのたくさんの思いがこもっています。手紙では芸術作品にはなりません。しかし、私がやっていたことはアートとして成立すると思っています。

 長坂さんの場合は、ガーナの現状を変えて、世界平和に近づこうという強い思いが作品のひとつひとつにこもっていると言えます。

Ⅴ ガーナの今後

 ガーナはこれからどうなっていくのでしょうか。長坂さんの活動をはじめとしてより良くなっていくと考えられます。しかし、根本的な問題解決のためには世界を変える必要があると思います。

 長坂さんの活動は、ガーナの人の意識や環境を変えることができます。
 ただ、そもそもなぜこの問題が起こったのか。それを解決しなければ今後も同じような状況が続くでしょう。

 まず、先進国は、使うことのできなくなった電化製品を回収する必要があります。使えなくなった製品をごみとして押し付けている現状は決して許されないと思います。そして、今回この記事を書いたことで発見したことがあります。それはもっと日常に疑問を抱くべきだということです。

 私はこの記事を書くまえまでは私たちが日常生活で何気なく捨ててた製品がガーナのような発展途上国に大きな問題をもたらしていることを知りませんでした。使わなくなった家電は廃品回収車へ。廃品回収車に渡してしまえば、正しい処理をして正しく捨てられると思っていたのです。

 しかし、現実は、業者がガーナに売って、そして、別の場所で誰かの命を奪っていました。本来私たちがすべき事は廃品回収車に回収されてからどうなるのか考えることだったのです。日常に疑問を抱くことで、気づかなければいけないこと、目を背けてはいけないことをまた発見します。

 それは、長坂さんもおっしゃっていた世界平和にもつながるのではないのでしょうか。

参考文献
MAGO GALLERY ONLINE
長坂真護 オンラインギャラリー | MAGO GALLERY ガーナのスラム街に積み上がる先進国からの廃棄物でアートを制作する美術家・長坂真護は、サステナブル・キャピタリズム(持続可能な資本主義)を提唱し、ガーナのスラム街...
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